相続税・生前対策

その他こんな時は?

お客様とお話しをしていて良く聞かれること、知っていると役立つことをご説明します。ただ、少し難しい内容も含まれています。

 

申告・納税について

相続税・贈与税の申告・納税でふと疑問に思うようなことを中心にまとめました。

Q.相続税がゼロ円でも申告が必要な場合があると聞いたのですが・・・

A.
配偶者に対する相続税額の軽減や小規模宅地等の減額の特例など、適用を受けるために相続税の申告をしなければならない規定があります。これらの規定の適用を受けたい場合には、たとえ相続税額がゼロとなっても、相続税を申告する必要があります。

Q.計算すると少し相続税がかかります。申告しなくてもバレないですよね?

A.
相続税は自主的に行う申告ですから遺産総額が基礎控除額以下で相続税がかからないようであれば申告をする必要はありません。ただし、税務署において資料を収集し、相続税がかかるということで決定されますと、相続税の無申告とみなされ、相続税の本税プラス無申告加算税及び延滞税が課税されます。かかるようであれば、きちんと申告・納税されることが一番だと思います。

Q.子供の相続税を親が支払っても問題ないですか?

A.
子供の分の相続税であっても、親がまとめて払えば、子供の分の相続税分を、親から子へ贈与したことになります。贈与税の基礎控除額110万円を超える場合には、贈与税が発生します。

Q.税務署から相続税の申告書が送られてこない場合

A.
相続税申告の必要な方へ必ず税務署から相続税申告書用紙などの書類が送られてくるとは限りません。まずは、財産目録を作成して申告の要・不要を確認する必要があります。

Q.今年離婚をして財産分与を受けましたが、贈与税はかかりますか?

A.
離婚して相手方から慰謝料や財産をもらった場合(財産分与)には、通常贈与税はかかりません。
財産分与や慰謝料が、現金ではなく土地や建物などの不動産で支払われた場合には、その不動産をもらった人には税金がかかりません。
しかし、支払った人にはその不動産の譲渡があったものとして所得税と住民税がかかる場合があります。

Q.被相続人の所得税予定納税は納付しなければなりませんか?

A.
予定納税の納税義務は、第一期分がその年6月30日、第二期分はその年10月31日に成立します。死亡した日が、それぞれの納税義務が成立する前か後かで、その予定納税額を納付する義務があるかどうかが分かれます。
  • 〈例1〉父が6月10日に死亡した場合
    第一期分の予定納税の義務は成立していないので、通知書が届いても、税務署に父が6月10日に死亡した旨を連絡すれば、納付は取り消されます。
  • 〈例2〉父が7月10日に死亡した場合
    第一期分の予定納税の納付義務が成立しているため、相続人がその義務を承継し、納付をする必要があります。→父の準確定申告で、この予定納税額を控除して申告します。

Q.贈与税で注意することはありますか?

A.
贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。会社など法人から財産をもらったときは贈与税はかかりませんが、所得税がかかることになっています。また、次のような場合は、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかることになっています。
  • 自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合
  • 債務の免除などにより利益を受けた場合
ただし、死亡した人が自分を被保険者として保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合は、贈与税でなく相続税の対象となります。

不動産の譲渡

相続後に土地等を売却した場合は要注意です。

Q.昨年相続税を支払い、今年相続した土地を売却したのですが・・・

A.
親の財産を相続した後に、その相続財産の一部である土地等をやむを得ず譲渡するケースは多くあります。この場合、相続した土地等を相続税の申告期限から3年以内(死亡後3年10ヶ月以内)に売却した場合には、売却した相続人が負担した相続税のうち一定額が取得費に加算されるため、譲渡所得税が軽減されます。(措置法39)

宅地(評価単位・広大地・借地権)

宅地の評価方法で、納税額が大きく変わります。

Q.宅地の評価単位は?

A.
宅地の価額は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。)ごとに評価しますが、具体的には、次のように判定します。
なお、相続、遺贈又は贈与により取得した宅地については、原則として、取得者が取得した宅地ごとに判定します。
  • 所有する宅地を自ら使用している場合には、居住の用か事業の用かにかかわらず、その全体を1画地の宅地とします。
  • 所有する宅地の一部について借地権を設定させ、他の部分を自己が使用している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地とします。一部を貸家の敷地、他の部分を自己が使用している場合にも同様とします。
  • 所有する宅地の一部について借地権を設定させ、他の部分を貸家の敷地の用に供している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地とします。
  • 借地権の目的となっている宅地を評価する場合において、貸付先が複数であるときには、同一人に貸し付けられている部分ごとに1画地の宅地とします。
  • 貸家建付地を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とします。
  • 2以上の者から隣接している土地を借りて、これを一体として利用している場合には、その借主の借地権の評価に当たっては、その全体を1画地として評価します。この場合、貸主側の貸宅地の評価に当たっては、各貸主の所有する部分ごとに区分して、それぞれを1画地の宅地として評価します。
以上が主な留意点です。

Q.借地権の及ぶ範囲は?

A.
借地権の及ぶ範囲については、必ずしも建物敷地に限られるものではなく、一律に借地権の及ぶ範囲を定めることは実情に沿いません。借地権の及ぶ範囲は、借地契約の内容、例えば、権利金や地代の算定根拠、土地利用の制限等に基づいて判定することが合理的であると考えられます。
なお、建物の敷地と駐車場用地とが、不特定多数の者の通行の用に供されている道路等により物理的に分離されている場合には、それぞれの土地に存する権利を別個に判定することとなります。

取引相場のない株式(出資)

取引相場のない株式は、通常の取引相場(市場価格)がありませんので、財産の評価に際しては、適切な評価方法によりその評価額を付す必要があります。
所有目的が「支配」or「配当」で大きく評価方法が変わります。

Q.原則的評価方式による評価とは?

A.
その取引相場のない株式の所有目的が、会社の支配や経営権の行使にあると認められる場合に適用される評価方法です。その会社の規模区分により三区分に分類することができます。
  • 大会社区分(類似業種比準価額方式)
    その取引相場のない会社の株式が上場されていたならば、いくらの価額により評価されるかという考え方を基にして計算する方式により評価します。
  • 中会社区分(併用方式)
    1の大会社と3の小会社との中間的な位置付けにある中会社の株式は、原則として大会社の評価方式と小会社の評価方式との併用方式により評価します。
  • 小会社区分(純資産価額方式)
    個人組織の企業と規模的に大差のない小会社の株式は、その会社の有する各資産の評価額から各負債の評価額を控除した純資産価額を基にして計算する方式により評価します。

Q.特例的評価方式(配当還元評価方式)による評価とは?

A.
事業関与度合の低い一定の少数零細株主等の保有する株式の評価をする際に適用される評価方法です。
支払配当金を基にして評価する方法です。

Q.原則と特例の適用区分と判定方法は?

A.
同族株主がいる場合といない場合とに分類して行います。
  • 同族株主がいる会社の場合
株主の態様 評価方式



保有議決権割合が5%以上の株主 原則的評価方式
保有議決権割合が
5%未満の株主
中心的な同族株主がいない場合
中心的な同族株主が
いる場合
中心的な同族株主
役員である株主又は役員となる株主
その他の株主 配当還元方式
同族株主以外の株主
  • 同族株主のいない会社の場合
株主の態様 評価方式
保有議決権割合の合計が15%以上の株主グループに属する株主 保有議決権割合が5%以上の株主 原則的評価方式
保有議決権割合が
5%未満の株主
中心的な同族株主がいない場合
役員である株主又は役員となる株主
その他の株主 配当還元方式
保有議決権割合の合計が15%未満の株主グループに属する株主

Q.類似業種比準価額の計算における業種目の判定は?

A.
類似業種比準価額計算上の業種目及び業種別株価等(平成××年分)から評価会社に該当する業種目を選定します。判断に困るときは、「日本標準産業分類」を参考にします。小分類まで記載があるときは小分類と中分類の2つの業種目を、中分類までの記載の場合は中分類と大分類の2つの業種目を選別します。

その他

その他、相続・贈与関係で少しまとめてあります。

Q.名義預金の確認方法について

A.
一般的には次のような事項を中心に、家族名義預金等の実質所有者の確認をしていきます。
  • 家族構成、家族の年齢、職業、年収及び保有資産の状況
  • 通帳・印鑑、カード等の保管状況
  • 利息等の受取方法
  • 通帳に使用されている印鑑の状況(印鑑の数、利用頻度等)
  • 各預金の資金源泉の追跡(元始資金の発生状況)
  • 被相続人の死亡原因が突然なのか、長年の療養後なのか
    • (注)H21.1.22 最高裁判決により、他の相続人の同意不要で被相続人の預金取引履歴の入手が可能になりました。

Q.親族が亡くなったら、どのような手続き?

A.
『死亡診断書』を取る。(有料)
死亡を確認した医師に『死亡診断書』を作成してもらいます。
遺族は、記載に間違いがないか否かを確認し、署名捺印が必要となります。
  • ※一般的に『死亡診断書』と『死亡届』は同一用紙になっています。
  • ※生命保険金等を受け取る際にも『死亡診断書』が必要となります。
役所に『死亡届』と『死体火葬許可申請書』を提出する。
  • 遺族等(届出人)は、死亡した日から7日以内に『死亡届』と『死亡診断書』を、役所(原則故人の本籍がある場所・死亡場所、届け人の住所地のいずれか)に提出することが義務付けられています。
    ※役所では、365日24時間体制で『死亡届』の受付業務を行っています。
  • 『死体火葬許可申請書』を提出し、『死体火葬許可証』を受け取ります。
    ※『死体火葬許可証』は、火葬場で必要になる書類です。
  • 火葬場で『死体火葬許可証』を提出し、『死体埋葬許可証』を受け取る。
    ※『死体埋葬許可証』は、納骨を行う際に必要となる書類です。

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