相続税・生前対策

遺産分割協議

遺産をどのように相続人で分けるか協議することです。
協議がまとまれば遺産分割協議書を作成します。

 

分割協議がまとまった場合

遺産分割協議がまとまった場合は、次のような順序で遺産分割協議書を作成していくことになります。
遠方に相続人の方がいる場合は早めの準備が必要です。

Q.被相続人・相続人の具体的記載事項を詳しく教えてください。

A.
  • 被相続人について
    氏名・本籍・最後の住所・生年月日・死亡年月日(相続開始の日)を記載します。
    これらを記載することにより被相続人を特定します。
  • 相続人について
    相続人全員の氏名・本籍・住所・生年月日・被相続人との続柄を記載します。
    これらを記載することにより相続人を特定します。
    分割協議で何も相続しないことになった相続人も記載する必要があります。ただし、相続放棄の手続きをした人は記載の必要はありません。
    最後に相続人全員が署名・捺印をしますが、必ず本人が署名し捺印は実印を使用してください。

Q.財産の具体的記載事項を詳しく教えてください。

A.
  • 不動産について
    不動産登記事項証明書のとおりに記載します。なぜなら登記事項証明書と分割協議書の内容が違うと相続登記ができなくなる場合があるからです。
    ・土地であれば所在・地番・地目・地積を記載します。
    ・建物であれば所在・家屋番号・種類・構造・床面積(二階建て以上の場合は階層別に)を記載します。
  • 預金について
    金融機関名・預金の種類(普通預金、定期預金等)・口座番号・口座名義といったように、できるだけ詳細に記載します。
  • 有価証券について
    ・株式や出資金であれば銘柄・株数を記載します。
    ・社債や国債であれば銘柄・券面額を記載します。

分割協議がまとまらない場合

他の相続人との間で話し合いがまとまらないケースも少なからずあると思います。
ここでは、そのような場合に注意すべき点について確認しましょう。

Q.申告期限内に遺産分割が決まらない場合不利になることはありますか?

A.
申告期限内に遺産分割が決まらない場合、税務上の特例等で適用が受けられないものがでてきます。
  • 配偶者の税額軽減措置の特例の適用が受けられない
  • 小規模宅地の評価減の特例の適用が受けられない
  • 物納することができない
  • 農地の納税猶予の特例の適用が受けられない
ただし、申告期限から3年以内に分割が確定し、かつ、「遺産が未分割であることについてのやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出している場合には上記1と2の適用を遡ってうけることができます。

Q.申告期限内に遺産分割が決まらない場合は申告はどうするのですか?

A.
民法で規定する相続分により取得する財産と承継する債務の金額を計算し、申告します。
その後、分割が決まり次第あらためて申告することになります。
配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例を受ける場合には、申告期限までに申告書と一緒に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出しなければなりません。

Q.協議が全然進展しないのですが・・・

A.
分割協議がまとまらず、協議ができないときは家庭裁判所に調停の申し立てをすることができます。
家庭裁判所の第三者を入れて話し合いをすることにより協議をまとめる方法です。
調停が不成立の場合には審判による分割が行われます。これは家庭裁判所の審判官が民法906条に従って、裁量的に各相続人の相続分に応じて分割の内容や方法などを判断することです。

「遺産分割協議書」作成時の注意事項

遺産分割協議書の作成は法律等で義務付けられているものではありませんが、書面で残すことにより後日の争いを防げます。また、不動産登記等で必要な「相続を証する書面」になります。

Q.どのような時に作成する必要がありますか?

A.
遺産分割協議書の作成が必要な時は、遺言書がある場合を除き次のような時です。
  • 相続税の申告をする(申告書に添付要件があるため)
  • 不動産等の相続登記をする(相続を証する書面が必要なため)
  • 後日の紛争を防止したい

Q.記載内容や書式に決まりはありますか?

A.
遺産分割協議書の作成自体が任意のものですので、記載内容や書式も決まりは無く任意で作成して構いません。
ただ、一般的に遺産分割協議書を作成する目的で使用する場合は次の事項に注意が必要です。
  • 被相続人の記載・・・戸籍謄本・住民票のとおりに記載
  • 相続人の記載・・・・遺産を相続しない相続人も全員記載
  • 財産の記載・・・・・不動産は登記事項証明書のとおりに記載

Q.後日新たな財産が見つかったのですが・・・

A.
分割協議が整った後に新たな遺産が見つかることもあります。
最初の分割協議書に新たな遺産が見つかることを想定していない場合は、別途分割協議をする必要があります。
ただ、最初の分割協議書に新たな遺産が見つかることを想定して作成することにより、新たに分割協議書を作成する手間を省くことができます。
それは分割協議書に「上記のとおり分割された遺産のほか、将来何らかの遺産が発見された時 は、当該遺産については相続人Aが取得するものとする。」という一文を記載しておくことにより、Aを取得者と定めることができます。

Q.遺産分割協議が成立した後に、遺言書が見つかったのですが・・・

A.
遺言書の存在を知らずに遺産の分割協議が成立したとしても遺言に反する部分は無効となります。
しかし、共同相続人全員が遺言書と異なる遺産分割協議をそのまま有効にしようと合意すれば、その合意が優先される事になります。
ただし、共同相続人の中の1人でも遺言を盾にとり遺産分割協議について異議を唱えた場合には再分割の協議・遺言の執行を改めて共同相続人全員で行うことが必要となります。

Q.相続人に未成年者がいる場合は?

A.
相続人が未成年者の場合、通常はその未成年者の法定代理人である親権者が分割協議に参加します。ただし、その親権者自身も相続人である場合はそれができません。例えば被相続人が父親で相続人が母親と未成年の子供という場合です。未成年者の子供の代理で母親が分割協議を行うとなると、母親1人の中で相続人としての母親自身の利益と代理人としての子供の利益が対立することになります(利益相反)。この場合、母親自身の都合の良いように子供の利益を調整することも可能となってしまいます。このような状態を防ぐために、民法では特別代理人の制度を設けています。
上記の場合、親権者が申立人となって家庭裁判所に「特別代理人選任の申立て」を行います。
申立て先はその未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所です。特別代理人は家庭裁判所の審判によって選任してもらいます。分割協議書には、この特別代理人が未成年者に代わって署名・捺印することになります。この特別代理人選任の手続きは、家庭裁判所によっては、多少時間がかかる恐れがあり、申告期限までに分割協議が整わない未分割財産とならないためにも、余裕を持って手続きをする必要があります。