相続税・生前対策

準確定申告

準確定申告とは亡くなった方の確定申告のことです。
亡くなってから4ヶ月以内に申告・納付しなければなりません。

 

収入の計算

収入といっても給料や年金、不動産収入・事業収入・譲渡収入など様々な収入があります。
通常の確定申告と同じように収入ごとに注意点が異なります。

Q.給料・年金はどのように計算しますか?

A.
相続開始の日までに支給を受けたものが準確定申告の対象になります。
お勤めの勤務先や年金の団体から送られてくる源泉徴収票があれば大丈夫です。
相続開始の日後に支給を受けた給与は相続税の対象になりますが、相続開始の日後に支給を受ける未支給年金は相続人の一時所得になります。

Q.不動産収入はどのように計算しますか? 

A.
原則としては契約によって支払日が定めれられているものについては支払日、例外として継続的に前受や未収経理をしている場合は貸付期間で計上します。
ただし、相続開始前に収入すべき時期が到来しているのに未入金のものは、準確定申告の収入に計上されます。また、未収入金という財産として相続財産になります。

費用と控除の計算

費用と控除を計算するうえで通常の確定申告とは異なる点が多数あります。
ここでチェックしてみましょう!

Q.経費はどのように計算しますか?

A.
ここで注意して頂きたい主な経費を確認しましょう。
  • 固定資産税
    • (1)相続開始前に固定資産税の通知がきた場合は、全額・納期到来分・実際納付額のいずれかを必要経費に算入することができます。
    • (2)相続開始後に固定資産税の通知がきた場合、必要経費に算入することができず、相続人の確定申告で必要経費に算入することになります。
  • 消費税
    • (1)相続人が事業を承継する場合、原則は申告書が提出された日の属する年分の相続人の必要経費、例外は未払金に計上して被相続人の準確定申告の必要経費に算入します。
    • (2)相続人が事業を承継しない場合、準確定申告の必要経費に算入します。
  • 事業税
    • (1)相続人が事業を承継する場合、事業税の賦課決定時に相続人の必要経費に算入します。
    • (2)相続人が事業を承継せずその事業が事業的規模の場合、事業廃止年分の事業税の課税見込額を準確定申告の必要経費に算入するか、又は、事業税の賦課決定時に準確定申告の更正の請求をするかを選択します。
    • (3)相続人が事業を承継せずその事業が事業的規模以外の場合、事業税の賦課決定時に準確定申告の更正の請求をします。
  • その他
    • (1)借入金利子は、相続開始時までの期間に対応する利子のみを必要経費に算入します。
    • (2)青色事業専従者給与は、相続開始時までに専従者として事業に従事していれば支給した給与のうち不相当でない部分の金額が必要経費となります。
    • (3)白色事業専従者控除は、相続開始年分において6ヶ月を超えて事業に従事している場合のみ必要経費となります。

Q.控除はどのように計算しますか?

A.
ここで注意して頂きたい主な控除を確認しましょう。
  • 配偶者控除・扶養控除
    • (1)被相続人と生計を一にしていたかどうかは相続開始時の現況により判断します。
    • (2)配偶者や扶養親族の所得要件は相続開始時の現況により見積もったその年1年間の合計所得金額により判断します。(予測できなかった譲渡所得などは含めなくて差し支えありません)
    • (3)特定扶養親族等の年齢判定は相続開始時ではなくその扶養親族等のその年12月31日現在の年齢により判定します。
  • 医療費控除
    • (1)被相続人の医療費で、相続開始時までに支払われたものは準確定申告で医療費控除の対象になります。
    • (2)相続開始後に支払われたものは、準確定申告で医療費控除の対象とはならず、相続税の債務控除の対象となります。また、被相続人の医療費を被相続人と生計を一にしていた親族が負担した場合、生計を一にしていた親族の所得税の医療費控除の対象となります。

付表と届出書

準確定申告には各相続人の氏名・住所・被相続人との続柄などを記載した付表の添付が必要です。
事業を相続人の方が引き継ぐ時には各種届出書の提出を忘れないようにしましょう!

Q.付表とは何ですか?

A.
付表とは準確定申告書に添付する各相続人の氏名・住所・被相続人との続柄・税金の負担者(還付を受ける者)などを記載する書類になります。
各相続人の相続する割合や相続財産の価額を記載する欄がありますが、空欄でも差し支えありません。
相続税の申告時にきちんと財産を申告していれば大丈夫です。

Q.提出が必要な届出書は何がありますか?

A.
相続人の方が被相続人の事業を引き継いだ場合には青色申告承認申請書と消費税関係の届出書について検討する必要があります。
  • 被相続人
    • (1)個人事業の廃業届出書
    • (2)個人事業者の死亡届出書(消費税の納税義務者だった場合)
  • 相続人
    • (1)青色申告承認申請書
    • イ.相続人が相続開始以前より事業を営んでいたケース
      相続開始年の3/15までに申請書を提出すると相続開始年から青色申告ができます。したがって3/16以後に相続の開始があった場合には相続開始の年分については青色申告を受けられないことになります。
    • ロ.相続人が相続開始以前は事業を営んでいなかったケース
      青色申告者である被相続人の事業を承継したことにより新たに事業を開始した相続人の申請書の提出期限は相続の開始日により次のようになります。
      <1/1~8/31までに相続が開始した場合>
      相続開始日から4ヶ月以内に提出すると相続開始年から青色申告ができます。
      <9/1~10/31までに相続が開始した場合>
      相続開始の年の12/31までに提出すると相続開始年から青色申告ができます。
      <11/1~12/31までに相続が開始した場合>
      相続開始の年の翌年2/15までに提出すると相続開始年から青色申告ができます。
    • (2)消費税関係の届出書
「消費税課税事業者選択届出書」の提出期限一覧
相続人の区分 被相続人の
区分
届出書の提出期限
事業を承継して新たに事業を開始する相続人 - 相続開始日の属する課税期間の末日
相続開始以前から事業を継続している相続人 届出書を提出済 相続開始日の属する課税期間の末日
届出書を未提出 相続開始日の属する課税期間は選択不可
「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出期限一覧
相続人の区分 被相続人の
区分
届出書の提出期限
事業を承継して新たに事業を開始する相続人 - 相続開始日の属する課税期間の末日
相続開始以前から事業を継続している相続人 届出書を提出済 相続開始日の属する課税期間の末日
届出書を未提出 相続開始日の属する課税期間は選択不可