相続税・生前対策

相続・放棄の決定

財産と債務の状況を把握したら相続するかどうかを決めなければなりません。しかも、亡くなってから3ヶ月以内です!

 

単純承認と限定承認

どちらも財産・債務の相続を承認することには変わりありません。
どのくらいの金額を相続における財産・債務とするかが変わります!

Q.単純承認とは?

A.
「財産の金額>債務の金額」 このような時にとられる方法です。
一般的に相続と言うとこの方法がほとんどです。
単純承認をするための特別な手続きは必要ありません。
なにもせず3ヶ月が経過すると単純承認をしたものとみなされるからです。
ただし、後から債務が多いと判明しても3ヶ月経過していると単純承認を取り消せませんのでご注意ください。

Q.限定承認とは?

A.
「財産の金額≧債務の金額」 このように財産が多いのか債務が多いのか、3ヶ月までに判明しないときに多く使われます。
相続する財産の範囲内で債務を承継する方法になります。
財産目録等を作成し相続人全員で申述する必要があるので、手間も費用もかかります。
実際の利用は少ないのが実情です。

相続放棄

財産・債務の両方を相続しないことです。
3ヶ月以内に手続きが必要になりますので注意が必要です。

Q.相続放棄とは?

A.
「財産の金額<債務の金額」このような時に多く使われる方法です。
相続開始より3ヶ月までに判断する必要があります。
財産よりも債務が大きく、特に相続したい財産もない場合は相続の権利自体を放棄することができます。
相続人が単独でこの判断をすることができますので、限定承認よりも実際の利用があります。

Q.相続放棄した時のお墓はどうなるの?

A.
相続放棄をするとすべての財産と債務の引き継ぐ権利を失います。
しかし、民法897条においてお墓や仏壇などの祭祀財産については、相続財産とは別に慣習に従って祖先の祭祀を主宰する者が承継することができるとされています。

Q.相続放棄したら生命保険は受け取れないの?

A.
相続放棄をするとすべての財産と債務の引き継ぐ権利を失います。
しかし、生命保険については契約上の保険金受取人が誰になっているかで受け取れるか、受け取れないかがわかれます。
  • 受け取れる契約の仕方
    保険金の受取人を相続人の誰かに指定した場合です。
    この場合、相続人は相続の効果ではなく、生命保険契約の効果として生命保険金を受け取ることになるためです。
    これは生命保険請求権が被相続人の相続財産と別のものになり、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができます。
  • 受け取れない契約の仕方
    保険金の受取人を被相続人に指定した場合です。
    この場合、生命保険請求権が相続財産の一部となってしまうためです。
    そのため相続放棄をすると生命保険金を受け取ることができなくなってしまうのです。

相続分の譲渡

単純承認・限定承認・相続放棄の他に、4つ目の方法が相続分の譲渡です。
一般的には使用されていない方法なのでされる時には注意が必要です。

Q.相続分の譲渡とは?

A.
相続人でない第三者にも譲渡ができますが、実際に第三者に譲渡する事例は少ないかと思います。
よくある事例としては、亡くなった方の奥さんが「自分は高齢だから、面倒を見てくれる娘にその分をやってほしい」という相続人間の譲渡などです。
有償でも無償でもかまいません。
正式には、遺産分割の前までに他の相続人全員に内容証明で通知しなければなりません。
ただ、相続分の譲渡後であっても相続債務については譲渡人は債務を負い続けるものとする考えがあるため、注意が必要です。