相続税・生前対策

差がつく事前対策!

ひとつの効果は小さくても、多くの対策を組み合わせることによりリスクを分散させて大きな効果を生むことができます。

 

生前贈与

相続税は亡くなった方の財産に課税されるため、亡くなった方の財産を減らすことが重要です。
つまり、財産を他の人に贈与することによって相続財産を減らすことが、相続税を減らすことに直結します。

Q.基礎控除とは?

A.
贈与税では年間110万円までは無税で贈与することができます。その110万円が基礎控除です。
仮に相続人10人に毎年110万円の贈与を30年間した場合には、3億3,000万円の財産を相続税の対象から外すことができるのです。
贈与を否認されないためには注意点が3つ
  • 贈与契約書をその都度作成する
  • 毎年、違う時期に・違う金額・違う種類の財産を贈与する(連年贈与と見なされないため)
  • 受取人本人の通帳と印鑑を受取人本人が管理する(たまには使う)
また、相続財産が多い場合には贈与税を払ってでも贈与した方が得になる場合もあります。
具体的には贈与をすることにより、『相続税見込+贈与税<相続税見込』の場合です。
贈与の進め方によって税負担が大きく変わりますので、専門家にご相談されることをお勧めいたします。

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Q.贈与税の配偶者控除とは?

A.
夫婦の婚姻期間が20年以上経過していれば、夫婦間で住宅または住宅を取得するための資金を贈与した場合2,000万円までは贈与税がかかりません。
基礎控除と合わせて2,110万円までは無税で贈与ができ、相続開始前3年以内の贈与でも相続財産に加算はされません。(ただし、不動産取得税などの費用は発生します。)

Q.住宅取得資金の贈与とは?

A.
1月1日現在で20歳以上の方が直系尊属である祖父母や父母から住宅取得資金贈与を受けた場合において一定の要件を満たすときは一定の金額について贈与税が非課税となります。(令和3年12月31日まで)

Q.相続時精算課税贈与とは?

A.
納税者の選択により、20歳以上の子又は孫が60歳以上の親又は祖父母から贈与により財産を取得した場合には、その財産の価額の累積額のうち2,500万円を超える部分について20%の税率で贈与税を納付し、相続発生時に相続財産に組み入れて相続税の精算をします。
(収益性のある資産や値上がり確実な資産について行うと効果的です。なぜなら、収益性のある資産の贈与により、相続財産が増えることが防止されます。また、相続時精算課税贈与ではあくまで贈与時の価額で相続税の評価をしますので、値上がりした分については対象外だからです。)

Q.教育資金の一括贈与とは?

A.
平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に、個人(30歳未満の方に限ります。以下「受贈者」といいます。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から(1)信託受益権を付与された場合、(2)書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は(3)書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下、これら(1)~(3)の場合を「教育資金口座の開設等」といいます。)には、これらの信託受益権又は金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。 その後、受贈者が30歳に達するなどにより、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額※1から教育資金支出額※2(学校等以外に支払う金銭については、500万円を限度とします。)を控除した残額があるときは、その残額がその契約が終了した日の属する年に贈与があったこととされます。

Q.結婚・子育て資金の一括贈与とは?

A.
個人(20歳以上50歳未満の者に限る。以下「受贈者」という。)の結婚・子育て資金の支払に充てるためにその直系尊属(以下「贈与者」という。)が金銭等を拠出し、金融機関(信託会社【信託銀行を含む。】、銀行等及び金融商品取引業者【第一種金融商品取引業を行う者に限る。】をいう。)に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1,000万円(結婚に際して支出する費用については300万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成27年4月1日から令和5年3月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととされます。
その後、受贈者が50歳に達するなどにより、結婚・子育て資金管理契約が終了した場合において非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときは、これらの事由に該当した日に当該残額の贈与があったものとして受贈者に贈与税を課税することとされます。

争族対策

骨肉の争いとは資産家に限ったことで、一般の家庭には関係がないと思われがちです。
ところが現代では、自宅以外に財産がない家庭でも相続争いは起こっています。

Q.争族対策で遺言書を考えています。どのような種類がありますか?

A.
下記の3種類があります。
死後の財産分割を円滑に行うためにも当社では遺言書の作成をおすすめします。
  • 公正証書遺言・・・費用がかかりますが、検認手続きが不要です。
  • 自筆証書遺言・・・費用がかかりませんが、様式不備による無効や紛失の恐れがあります。
  • 秘密証書遺言・・・費用がかかりますが、内容を秘密にすることができます。
作成後も撤回や作成し直すことができます。その場合、日付の最も新しいものが有効です。
相続人全員の合意があれば遺言書と異なる遺産分割を行うことが可能です。ただし、被相続人は遺言により5年を超えない期間内、遺産分割を禁止することができます。

Q.子供達は仲がいいので、遺言書を作成するほどではないのですが・・・。

A.
遺言書を書くまでもないと思っていらっしゃる方でも、生前に財産の分け方を相続人全員に簡単に話しておくことで、無用の争いを少なくすることができます。
と言いますのも、親の意思であれば大抵の子供は尊重することがほとんどであると思います。
また、遺言書も残さず意思も伝えていない場合、個々の家庭を持った子供達が自分の考えをそれぞれ強く主張し、衝突する場面もあるのです。

Q.遺言書を作成するメリットを詳しく教えてください。

A.
  • 相続争いを防ぐ事ができる
    遺言書が無い場合、相続人同士の仲にもよりますが、誰がどの遺産をどれだけ相続するのかなどの争いが起こりやすくなります。特に最近の不景気な経済状況により、遺産の多い少ないに関わらず、遺産分割に関するトラブルが増える傾向にあります。遺言書が無い場合、相続人全員の意見が一致しなければ遺産分割ができません。一人でも自分の意見を押し通そうとする人がいれば、遺産分割は行えません。しかし、遺言書では相続人ひとりひとりに対して、「この財産をこれだけ相続させる」と指定する事ができます。法定相続分よりも遺言書による遺産分割の方が優先されるため、遺言書がない場合に比べ、相続手続がスムーズに進む事になります。
  • 相続させる財産に差をつける事ができる
    相続人に相続させる財産に差をつけたいという思いは、遺言書を書く事で実現できます。遺留分を侵害しない限り、相続分に差をつけることは、法律上全く問題ありません。ただ、生前にとても親不孝だったりした子供には財産を渡したくない、などという時は、財産を渡したくないという言い分を裁判所が認めてくれないとダメなので、しっかりとした記述と証拠が必要になります。
  • お世話になった方にお礼として遺産を分ける事ができる
    自分の息子の嫁、内縁の妻、近所のお世話になった人など法定相続人ではない方に対しては、遺言書が無ければ遺産を分けることができません。そこで、遺言書を書くことによって、法定相続人でない方に対して遺産を分ける事ができます。生前お世話になった方に、自分の気持ちとしてお礼をするということは、とても良いことだと思います。
  • 社会貢献のため遺産を寄付する事ができる
    公益法人などに寄付する事もできます。ただし、法定相続人がいる時は遺留分に十分に注意する必要があります。トラブルを起こさないためにも遺留分より多めの財産を法定相続人に残すほうが無難です。
  • 直接伝えにくい事(隠し子の認知など)を記述する事ができる
    認知することによって、その子も他の子と同様の相続権を得ることになります。きっと他の相続人の方は驚かれると思います。しかし、その子の事を考えるならば認知して責任をとるのは良いことだと思います。

Q.財産構成は重要ですか?

A.
非常に重要な事項です。自宅以外に残す財産が無かった場合には自宅を相続する人と、何も相続できない人に分かれてしまい不公平感から争いの発生する可能性大です。
預貯金や生命保険金等で不公平感を無くすような事前準備が必要です。

制度活用・株価引下

相続税の中では税金の対象になるもの・ならないもの、また、一定の金額までは税金の対象にしていないもの等、
知っているだけで活用できる事前対策はたくさんあります。

Q.養子縁組の効果は?

A.
実子がいる場合は1人・実子がいない場合は2人まで法定相続人の数に含めることができます。
確実で効果の大きい対策ですので是非検討しましょう。
ただし、被相続人の方が亡くなる直前の養子縁組は税務署に否認される可能性大です。

Q.非課税枠って?

A.
相続税のかからない非課税枠には「生命保険金」と「死亡退職金等」の2つがあります。
  • 生命保険金の非課税枠を活用
    法定相続人×500万円までの生命保険金は相続税がかかりません。
    ただし、改正対象になっているので注意が必要です。
  • 死亡退職金等の非課税枠を活用
    法定相続人×500万円までの退職金と一定の弔慰金は相続税がかかりません。

Q.オーナー会社の株価を引き下げることはできますか?

A.
オーナー会社の株価引下方法には大きく分けて2種類あります。
  • 類似業種比準価額の引き下げ
    • (1)配当率の引き下げ
      ・通常配当を減らし、特別配当や記念配当を出す
    • (2)利益の引き下げ
      ・不良在庫処分
      ・不良債権処理
      ・固定資産の売却損・除却損の実現
      ・役員退職金の支給
      ・減価償却資産の購入
      ・リース契約
      ・生命保険の加入
    • (3)高収益部門の分社化
  • 純資産価額の引き下げ
    • (1)借入金による賃貸物件の建設
    • (2)合併や会社分割
    • (3)会社区分の変更

納税資金対策

相続税の納税資金となる現預金が充分であれば問題となりませんが、相続財産のほとんどが不動産の場合、
納税資金の確保が重要な課題となります。

Q.生命保険を活用できますか?

A.
相続税の支払のために大切な不動産を仕方無しに売却したり、そのために高い所得税がかかったということがないようにする1つの手段として生命保険を活用できます。
相続人1人当り500万円の非課税枠がありますので、これを利用すれば資金作りになります。
ただし、保険料負担者が被相続人で受取人が相続人の場合のみ非課税の取り扱いを受けられますのでご注意ください。

ケースによっては相続税の対象になる保険金の受け取り方よりも、所得税(一時所得)の対象になる受け取り方の方が得になるケースもあります。
それは一時所得の計算方法が『(受け取った保険金-払込保険料-50万円)×2分の1』に税率がかかりますので、実質的には最高で27.5%(所得税45%と住民税10%の合計の2分の1)で済みます。
相続税では課税遺産総額が1億円超2億円未満の部分で税率が30%ですので、これを超える見込みの方は所得税の対象で受け取った方が税負担が減るかと思います。

Q.個人事業の法人成り(不動産管理会社を含む)は有効ですか?

A.
法人成りにはメリットとデメリットがありますが、相続税対策を考えるほどの資産をお持ちの方でしたらメリット効果の方が高いかと思います。詳しくはご相談ください。
  • 資産分散効果
    個人所有の不動産を法人に売却することにより、オーナーに集中していた資産を分散することができます。売却する法人の株主はオーナーではなく、オーナーの子供や孫にすると効果的です。
  • 役員報酬による所得分散効果
    給与所得控除の活用と家族へ所得分散ができます。
    オーナーの子供や孫に対して役員報酬を支払うことにより、将来の相続発生時の納税資金原資とすることができます。ここで注意が必要ですが、オーナー自身に多額の役員報酬を支払うとそれだけ相続財産が増加してしまいますので、気をつけましょう。
  • 死亡退職金の活用
    退職金には相続税法上非課税になる部分がありますので、活用するメリットは高いです。

Q.保有資産の処分は有効ですか?

A.
不動産や株式が多い場合、これらを売却して納税資金を事前に確保しておく方がいいのか、そのまま保有しておく方がいいのか処分する前に検討する必要があります。
  • 事前に処分した方が良い場合
    • (1)相続発生後に売却見込みがない遊休不動産
    • (2)今後、価格が下がり続けると見込まれる遊休不動産・株式(他者へ売却)
    • (3)今後、価格が上がり続けると見込まれる遊休不動産・株式(相続時精算課税制度を活用)
  • 事前に処分しない方が良い場合
    • (1)相続財産を譲渡した場合の特例(39条)を適用する場合
    • (2)売却時の金額>売却資産の相続税評価額→そのまま保有or相続発生後に売却
  • 自社株売却
    通常、株式を発行会社へ売却すると配当金とみなされて総合課税という最高55%の税率(所得税・住民税)が適用になってしまいます。しかし、相続で取得した非上場株式を相続発生の日から3年10ヶ月以内に売却した場合に限り、譲渡所得税という20%の税率(所得税・住民税)を適用できます。

Q.遊休不動産の活用は有効ですか?

A.
不動産を活用して現金を生み出すことは昔からある納税資金対策の1つです。
アパートやマンションを経営して、これにより家賃収入を得て納税資金の準備をするとともに、相続税の節税対策もできるのです。
  • メリット
    • (1)家賃収入によるキャッシュイン
      ・家賃収入が入ることにより相続税納付資金対策や遺産分割対策になる
    • (2)相続税法上の評価減が適用できる
      ・自用地とした場合の価額-自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合
      ・評価額が下がるため相続税も減少
    • (3)固定資産税で評価減が適用できる(小規模住宅用地の特例)
      ・敷地面積÷戸数=200m2以下だと6分の1になる
      ・敷地面積÷戸数=200m2超だと3分の1になる
  • デメリット
    • (1)空室リスクによる借入金返済問題の可能性(アパート経営も事業という認識が重要)
    • (2)更地に比べて換金性が劣る
    • (3)遺産分割や物納がしにくい